12話
余計な話になったけれど、中学に入学した後も、いろいろあったよね。
アキは、子供から少年になっていった。
ズンズン背も伸びて、肩幅も広くなっていった。声変わりしたのは、いつだったっけ。
声が変わる時、アキは辛そうだったね。けれど、声変わりしきった後、とっても恥ずかしそうに言葉を紡ぎだす、アキの姿は新鮮だった。
こんなコメントは気持ち悪い?
でも、そう思ったんだもの。口には出さなかったけれど、男性に変化してゆくアキは、すごく魅力的だったんだから。
けれど、それは寂しい瞬間だったね。アキ達男の子達が成長する前に、女の私達の方が体の変貌をとげていったから。
悔しいことに、私の体はそう変化しなかったんだけれど、今日子ちゃんなんか、すごかったよね。
胸もボンと突き出てきて、ウエストはくびれるし、お尻の肉なんか、女性そのモノにボッテリ・・で、羨ましいくらいだった。
本人的には太ってるって、妙なダイエットしては、失敗ばっかりしていて、なんでそんな無駄な事するんだろう。って、不思議で仕方なかったんだけれど・・。
私以外の女の子達は、魅力的な女性に変貌していった。
薬用リップが、色付きに変わって、本物の口紅つけたり、髪の毛染めたり、可愛くなっていった。
男の子達も、中学入学したての頃は、子供の体型だったけれど、個人差あっても背も伸びて、運動能力も女子とはハンパなく上回っていって・・。
私達は、ちょっとずつ大人の階段を登っていったね。
いえ、私達。・・・じゃないかも。
成長しきれない私は、取り残され気味だったから。
胸はほとんど出てこないし、ウエストもくびれないし、女の子らしい肉が付かない。
子供体型のままで、背だけは少しずつ伸びただけで・・。
生理も遅かった。それが来た時は、嬉しかったよ。中学2年の時だったんだから。
そんな話はともかく・・・ちょっとずつ大人になっていった私達は、段々と一緒に遊ばなくなっていったのは確かだった。
アキは勉強が出来るだけじゃなくて、スポーツも得意だった。
陸上クラブに入って、黙々と走る姿を、お茶クラブに所属していた私は、コッソリ教室の窓からのぞいていたわ。
今日子ちゃん・・今日子は帰宅部だったわ。一年の時に、バスケ部に入ったんだけれど、先輩との折り合いが悪くて、辞めたんだって言っていた。
いつの間にか、違う校区の男の子と付き合い始め出していた事実を、私は知らなかった。
「花火を見に行かない?」
夏休みに入って、いくらもしないうちに、今日子から電話があった時は、大喜びでオーケーしたのだけれど、まさかカレシとその友達が来るなんて知らなかったんだから。
中学2年に入ってからは、クラスもクラブも別々で、あまり連絡取り合わなくなっていたんだけれど、友達だったし。
完璧花火は、二人で出かけるんだと思い込んでいた。